刈り取られてしまった聖女が横たわる。
ボクは棘で身を守る彼女を抱き上げ、
ガラスのしとねへ誘う。
彼女の息遣いは穏やかだ。
しかし、棘の防備はいささかも解かれない。
静かな一夜が明ける。
あれほど強固だった棘の城壁は外に開かれ、
無数の花芯が解き放たれる。
それは聖なる色、紫。
祝祭は聖なるがゆえに、一夜限りがふさわしい。
太陽が天空を一周りすれば、
花は色を失い、
聖なる色は、綿毛に包まれた幾つもの命へと変貌する。
いつの時も、命は飛び立つものと決まっている。
自ら羽を伸ばし、小さき我が身を風に託し、
生み出せし者から離脱する。
太陽が天空をいくど周っただろう。
聖女はまだ眠っている。
無数の棘の城壁の中で。