2013年8月3日土曜日

アザミは聖なる者


刈り取られてしまった聖女が横たわる。

ボクは棘で身を守る彼女を抱き上げ、

ガラスのしとねへ誘う。


彼女の息遣いは穏やかだ。


しかし、棘の防備はいささかも解かれない。




静かな一夜が明ける。



あれほど強固だった棘の城壁は外に開かれ、

無数の花芯が解き放たれる。

それは聖なる色、紫。



祝祭は聖なるがゆえに、一夜限りがふさわしい。



太陽が天空を一周りすれば、

花は色を失い、

聖なる色は、綿毛に包まれた幾つもの命へと変貌する。



いつの時も、命は飛び立つものと決まっている。


自ら羽を伸ばし、小さき我が身を風に託し、

生み出せし者から離脱する。



太陽が天空をいくど周っただろう。

聖女はまだ眠っている。

無数の棘の城壁の中で。