立秋とともに暑さが猛々しくなった。
夕方になっても気温が高いから、
必然、散歩人も少ない。
元気なのはセミだけで、やけに激しく鳴く。
日が落ちる頃は、
セミの幼虫が地面から這い出して、
その近くで、しがみつけるところならどこでも登り、
そして羽化する。
数少ない散歩人になったボクは、
大木の下で蝉しぐれに濡れ、
薄暗くなった地面に気を遣いながら、目を凝らす。
(だって、七年経ってやっと地面に顔を出した幼虫を踏んじゃうじゃないか)
大木の脇に生える草のようにひょろっとした木に
セミの幼虫を見つけた。
早々と羽化している個体もある。
まだ羽化する場所を決めかねている、二匹ばかり、
(いや、途中でアスファルト道路に落っこちた幼虫も見つけたから)
三匹を、
カバンに詰め込んでそっと持ち帰り、
リビングで羽化を見た。
二匹がアブラゼミ、
アスファルトの一匹がミンミンゼミ。
さて、実に見事な羽化であった。